「変わろう」と決意したのに、三日で元に戻ってしまった。そんな経験がある方も多いはずです。
これは、意志が弱いからではありません。多くの場合、「変わる」ということの捉え方自体がずれています。
「変わろう」として挫折するパターンの共通点
挫折する人には、ある共通点があります。「今の自分を全部否定して、別人になろうとする」という点です。
「もっと明るい性格になろう」「人見知りを完全に克服しよう」——こうした目標は、聞こえはいいものの、実際には無理があります。長年かけて形作られてきた性格を、ある日を境に総入れ替えすることはできません。
できないことを目指すから、うまくいかず、自己嫌悪だけが残ります。
変容とは、性格の総入れ替えではない
自己変容とは、性格そのものを別物に変えることではありません。今の性格を土台にしたまま、行動をひとつずつ変えていくことです。
人見知りな性格そのものは変わらなくても、「初対面で最初のひと言を自分から出す」という行動は選べます。性格を変える必要はなく、行動を選び直すだけで十分です。
行動が変われば、その行動から得られる結果が変わります。結果が変われば、自分に対する見方が少しずつ変わっていきます。これが、実際に起きている「変容」の正体です。
小さな行動が、神経系のパターンを書き換える
以前扱ったRASやポリヴェーガル理論を思い出してください。脳は、繰り返し起きたことを「重要な情報」として認識するようになります。神経系も、繰り返し経験したパターンを「安全」あるいは「危険」として学習していきます。
つまり、小さな行動を繰り返すことで、脳と神経系そのものが少しずつ書き換わっていきます。一度の大きな決意より、小さな行動の繰り返しの方が、実は変化として確実で持続します。
40代からの変容は「削ぎ落とす」作業でもある
もう一つ、40代以降の変容には特有の側面があります。それは「足す」だけでなく「削ぎ落とす」作業だという点です。
これまで身につけてきた防衛的な習慣——強がる、本音を隠す、弱みを見せないようにする——は、若い頃には必要だったのかもしれません。ただ、その習慣が今の自分に本当に必要かどうかは、改めて見直す価値があります。
新しく何かを身につけるより先に、不要になった防衛を一つ外すことの方が、変化として大きい場合があります。
今日やること
「変わろう」という大きな目標は、いったん脇に置いてください。
代わりに、今日一日の中で、いつもと違う小さな行動をひとつだけ選んでみてください。いつもは黙っている場面で、ひと言だけ発言する。いつもは避けている連絡を、ひとつだけ送ってみる。それくらいで十分です。
性格は変えなくていい。行動をひとつ、今日変えるだけでいい。
次回は「内面が整った自分で、もう一度扉を開ける」という話をします。ここまでの内面の作業を、実際の行動へつなげる回です。
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